第15回 ヴィクトリアマイル(GⅠ)考察【各馬評価・注目ポイント】

この記事は「第15回 ヴィクトリアマイル(GⅠ)の予想記事です。


 

どうもキラです。

今回は、ヴィクトリアマイル(GⅠ)の考察をおこなっていきます。

 

ヴィクトリアマイル(GⅠ)キラ的考察

注目ポイント

まず、最初に考えないといけないことは、「アーモンドアイの取り捨てをどうするか」ということです。これを決めないことには、相対的に他の馬を絡めた予想が全くできないと思っていいです。それはなぜか?

 

競馬の予想をする上で指標となるのは、「その馬の強さ」と「馬の状態」、そしてそれに付随する枠順や馬場・天気などといった「運的要素」で、その中でも強さと状態は大きな割合を占めます。

そして、現段階での強さは近走のレースから、現段階の調子は調教や馬体などから見極め、判断します。

ここで仮に、競走馬A、競走馬Bがいるとして、その馬の強さがそれぞれ100、80いう数値で表された強さだとします。

実力的には競走馬Aの方が上ですが、例えば調教や馬体から見て、Aの調子が70%の状態だったとして、逆に、競走馬Bの調子は絶好調で、100%の状態だったとします。

これを数式で考えると、

競走馬A 100×0.7=70
競走馬B 80×0.1=80

今だけの状態で考えると、競走馬Bの方が数値が高くなり、競走馬Bの方が勝つ確率が高いと考えることができます。

もちろん競馬は数学ではないですし、さらにここに、枠順や馬場などといった要素も加算されるため、これだけで一概に勝敗が決まる訳ではありません。

 

ここで話を戻します。

アーモンドアイは去年の天皇賞(秋)の時点では間違いなく全盛期だったと言えるでしょう。ただ、有馬記念での惨敗、そして、そこからさらに5ヶ月もの間レースがなかったことを考えると、このいずれかのタイミングで、全盛期が過ぎていても不思議はないと言えます。

特に、芝専門の牝馬はその傾向が強く、4歳終わって5歳になった途端、早い馬だと3歳終わって4歳になった途端、全盛期の片鱗すら見えないほど急に走らなくなる馬も珍しくはありません。

「調教や馬体を見ればそれがわかるのでは?」、そう思う人もいるかもしれません。しかしながら、こればっかりは走らないとわからない要素があまりにも多く、残念ながら調教や馬体からだけでは判断がつかないことがほとんどです。

つまり、先ほどの計算式でアーモンドアイの馬の気配を計ろうにも、現在のアーモンドアイの調子の良さは計れたとしても強さの数値を計ることができないため、運的要素で予想することしかできないことになります。

 

仮に全盛期のアーモンドアイの強さが120だとして、今のサウンドキアラの強さが100だったとしましょう。

この数値のままで、どちらも絶好の調子、100%であれば、

アーモンドアイ 120×1.0=120
サウンドキアラ 100×1.0=100

でアーモンドアイに軍配が上がります。たとえ本調子でなく90%くらいの調子でも、

アーモンドアイ 120×0.9=108
サウンドキアラ 100×1.0=100

と、調子100%のサウンドキアラに負けることはありません。

しかし、例えばアーモンドアイがすでにピークを過ぎて、強さが80くらいまで下がっていたとしたら…

どちらも調子100%であれば、

アーモンドアイ 80×1.0=80
サウンドキアラ 100×1.0=100

アーモンドアイ100%、サウンドキアラ90%の調子であっても、

アーモンドアイ 80×1.0=80
サウンドキアラ 100×0.9=90

と、調子はアーモンドアイが万全でもサウンドキアラに勝てない、という事が生じてきてしまうわけです。

つまり、今の現段階でのアーモンドアイが、どこまで強さを保持できているのか、ということがわからない限り、主軸となる本命を決めることができないということになります。

 

今回のヴィクトリアマイルで馬券を買うためには、

全盛期のアーモンドアイをもねじ伏せることのできる馬を見つけるか、
ピークを過ぎていても牝馬戦なら負けないと押し切って考えるか、
ある程度の憶測からアーモンドアイの取り捨てを決め打ちするか、はたまた、
アーモンドアイが強い場合・ピークが過ぎている場合のどちらのケースの買い目の馬券も買ってしまうか、

の4パターンに分かれそうです。

 

各馬短評

①ラヴズオンリーユー

現在、現役の4歳牝馬トップ5と言えば、クロノジェネシス、グランアレグリア、カレンブーケドール、ダノンファンタジー、そしてこのラヴズオンリーユーの5頭。クロノジェネシスは大阪杯(GⅠ)で2着、グランアレグリアは高松宮記念(GⅠ)で2着と今年に入っても混合GⅠで活躍し、カレンブーケドールは去年のジャパンカップで2着もとっていることから、去年のクラシック牝馬はかなりレベルが高いと言えます。中でも、能力的にはクロノジェネシスにも引けを取らないといえるラヴズオンリーユー。牝馬戦であれば当然勝ち負けは必至かと思われます。ただ唯一の不安要素はドバイからの輸送明けであること、そしてアーモンドアイ以上に間隔の空く半年ぶりのレースである事。今回は枠も新馬戦以来の1枠で、位置で苦しむことはなそうですし、状態さえ万全であればアーモンドアイにも匹敵か。

②ビーチサンバ

依然1勝馬なので少し軽視されがちですが、この馬もレベルの高い現役4歳牝馬世代で、成績もしっかり見ればかなり堅実です。新馬戦以降の9戦はすべて重賞で、そのうちG1が4戦なのにもかかわらず掲示板を外したのはオークスのみと僅か1戦。オークスは明らかに距離が長い印象でしたので、それを考えると適正距離であれば掲示板を外したことがない、という見方もできます。前々走、前走と徐々に良化が見られ、叩き3戦目となる今回、勝ち切りは難しいかもしれませんが、馬券内は結構あると思います。

③シャドウディーヴァ

前走・阪神牝馬ステークスは精彩を欠くも、今回と同条件の東京新聞杯では速い脚を魅せていますし、馬場は比較的今向きなことからも再度見直しは必要です。ただ、勝ち切りまではどうか・・・?

④シゲルピンクダイヤ

4歳に入って精彩を欠いている印象です。叩き3戦目で良化が見込めても、ここ2戦がさすがに少し負けすぎで、さすがに今回は軽視です。

⑤プリモシーン

ヴィクトリアマイルはリピーターが多いことから近走の成績関係なく注意は必要です。ただ、前走・ダービー卿CTで後方からの競馬にも関わらず上りが35.2秒しか出ていなかったのが気がかり…。過度な期待は禁物かもしれません。

⑥トーセンブレス

阪神JF4着、桜花賞4着、フラワーC2着とデビュー間もない頃は最前線で戦っていたものの、その後なかなか冴えなかった当馬が、このあたりで再び充実している印象です。クラス的にはワンパン地足りないですが、去年のユートピアSでは32.6秒という上りも出しており、府中では末脚に期待が持てます。

⑦ダノンファンタジー

1人気に推された前走・阪神牝馬ステークスは、スタートも良く、好位から理想的な競馬をして最高の形で直線に入ったはずが、芝の位置も前も開けていたにもかかわらず全く伸びず。陣営は休み明けを理由に挙げていましたが、この馬は元々鉄砲を苦にしないタイプ。これといった敗因がない中で伸び脚が中団の塊とほぼ同じだった感じを見ても、GⅠで見直しするには少し厳しいです。ここは割引。

⑨セラピア

デビューが遅く、クラシック最前線で戦うには成長が間に合わなかった当馬も、ここへきてようやく開花の兆候。歴戦7戦とまだまだ元気いっぱいで、ここは思い切ったレースが期待できそうです。スタートが良い馬なので、まだまだ前が止まらない馬場なのを考えると、場合によってはハナに立ってそのまま残る、というのも十分あり得ます。前走の勝ち方を見る限り重賞でも全然通用すると思いますし、ここはちょっと期待です。

⑩メジェールスー

2勝クラス、3勝クラスと順調に勝ち上がって迎えた前走は、距離の壁か、鞍上の力不足か、見せ場は一切ありませんでした。今回、鞍上次第では大穴的存在にもなりえましたが、岡田騎手であればそこまでの変化も期待はできないと思います。

⑪サトノガーネット

距離適性的には2000~2400mが合っていると思われ、今回の出走は正直なところ疑問要素もあります。前走が初のマイル戦で、そこで少しでも見せ場があれば一考もありましたが、ここは掲示板も厳しいかと思います。

⑫アーモンドアイ

まず絶対的に把握しておかなくてはいけないのは有馬記念の敗因。これまで強い競馬をしてきた条件としての共通項は、どれも高速馬場だったこと。うって変わって有馬記念は真逆と言える馬場ですからね。ラスト3ハロンは馬場に加え急勾配の坂もあるので、相当のスタミナ勝負になったかと思われます。道中もいたってスムーズでしたし、天皇賞(秋)の強さを考えると、このあたりの条件はアーモンドアイにとって大きな影響を及ぼしたと言えます。となると…今回のヴィクトリアマイル、再びアーモンドアイの舞台になる可能性は高いです。状態こそ良ければ、たとえ4歳時がピークだったとしてもここは馬券内必死。

⑬トロワゼトワル

去年充実期を見せていた当馬ですが、暮れから急な下降ムード。京成杯AHで逃げ勝ったことでここ2走も前から競馬している感じですが、京成杯AHはあくまで斤量52キロの恩恵。この馬は正直好位差しが合ってますので、逃げ・先行にこだわるならここでも要りません。

⑭スカーレットカラー

去年夏あたりから再び成長が見られる同馬。エリザベス女王杯、有馬記念の走りを見る限り、やはり2000m以下が条件的に合ってますし、速い上り勝負になるコースで持ち味がでることから、今回のヴィクトリアマイルはこの馬にとって過去一のチャンスとなる一戦。前走・阪神牝馬Sは出遅れてサウンドキアラに一歩及ばずもメンバー中最速の上がりの33.4秒。今回は中団からヨーイドンとなれば一発も十分。

⑮アルーシャ

前走は重馬場が思い切り影響した感もありますが、それを除いてもここでは完全なるパンチ不足。展開が有利に働いても見せ場を作るのも厳しそうです。

⑯ノームコア

コースレコードを叩き出した昨年の王者ですが、レース数の少ないローテーションを見る限り、昨年の勝利からすでにここ一本を取りに狙ってきている印象です。前走・高松宮記念は完全なる距離足らずですので度外視できますし、疲れもさほどないでしょうからここは2連覇に向けて虎視眈々、といったところでしょうか。脚質が差しで今回は外枠ということもあり人気落ちしてますが、香港マイルでもしっかり結果は出てますし、まだまだここは有力の一角。

⑰コントラチェック

前走・中山牝馬ステークスは2番人気に推されるも、スタートからいつものような行き脚がなく最後もズルズル後退して大敗。ただ、大粒の雪、それによる不良馬場の影響はかなりあったと思われますし、いつものように前々からの競馬で展開がハマれば見せ場は作れそうです。最近の武豊騎手は前有利という時は果敢に前に押していきますし、今回は外枠ですがおそらく逃げを狙っていくと思います。

⑱サウンドキアラ

今年に入り重賞3連勝と間違いなく今がピーク。ここを取らなければこのあとチャンスがあるかもわからない、ということを考えると、陣営的にもここは気合入っているでしょうし、メイチで仕上げてきているのは間違いなさそうです。不安点を挙げるとすれば、大外枠であること、詰まったローテーションで見えない疲労の可能性があることで、直線で伸びてこれない…という可能性はなきにしもあらず。ただ、鞍上の松山騎手は今年すでに重賞6勝で桜花賞も買ってますし、気持ちよく走れる最良の判断はしてくれそうです。

 

好調教馬

馬名 評価
①ラヴズオンリーユー
②ビーチサンバ
③シャドウディーヴァ
⑨セラピア
⑩メジェールスー
⑫アーモンドアイ
⑭スカーレットカラー
⑯ノームコア
⑱サウンドキアラ

 

注意すべき点

NHKマイルCの傾向は一度頭からはずす

先週おこなわれたNHKマイルカップと同条件の東京・芝1600mですが、先週と同じ考え方で予想を進めるのは少し危険です。

これはなぜかというと、NHKマイルカップは成長著しい4歳春のレースであること、出走メンバーの馬齢がみな同じであること、牡馬牝馬の混合戦であること、が大きく関係してきます。

ヴィクトリアマイルは古馬戦の上に牝馬戦。同条件の東京・芝1600mであっても、レースの質は全く異なってきます。

若さ溢れるフレッシュなクラシック3歳馬は元気いっぱいで先行してそのまま押し切ることも多いですが、それに比べ多少なりともズブさが出てくる古馬は差しが台頭しやすくなります。

このへんを踏まえても、先週の傾向は一度頭から外した方がいいでしょう。

 

厩舎2頭出しは人気薄

先週のNHKマイルカップはさすがになかったですが、それでもまだまだ同厩舎の2頭出しがある場合は、人気薄の方の馬は注意が必要です。

今週は、

藤原英昭厩舎
⑧ディメンシオン 牝6
⑩メジェールスー 牝5(15人気)

矢作芳人厩舎
①ラヴズオンリーユー 牝4(3人気)
⑪サトノガーネット 牝5(16人気)

藤沢和雄厩舎
⑮アルーシャ 牝5(15人気)
⑰コントラチェック 牝4(10人気)

と3厩舎から2頭出しの予定でしたが、ディメンシオンが出走取り消しになったため、矢作厩舎と藤沢厩舎のみ。

ただ、該当馬を見る限り、サトノガーネットとアルーシャはさすがに考えにくく、今週はその法則は当てはまらなそうかな、とは思っています。

 

 

以上、ヴィクトリアマイル(GⅠ)の考察でした。

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