「降級制度の廃止」について改めて考える

どうもキラです。

今回は去年制定された「降級制度の廃止」についてちょっと触れておきます。

降級制度とは

2019年の夏、中央競馬では大きな制度改革ともいえるべく「降級制度の廃止」が施行されましたが、個人的にはまだまだ違和感たっぷりです。

そもそも、この「降級」というシステムですが、4歳馬は夏競馬が始まる6月になると「収得賞金」が半分に減らされるというルールがありました。クラス分けは、この「収得賞金」によってきめられていたので、近走であまり成績が奮っていないとこの「収得賞金」が現状のクラスに満たなくなり、下のクラスへ「降級」されてしまう、という仕組みです。

馬も生き物ですからね。老いればスピードも精神力も衰えてきます。クラシックといわれる競走馬にとって一番活きの良い3歳の頃に残した成績・賞金を基準にされたまま、古馬になれば当然その当時よりも勢いは衰えてくるのでどんどん勝てなくなっていってしまいます。そのために、4歳になったばかりの春は実際に古馬と戦ってどこまでやれるのかを測り、夏競馬が始まる6月に一度リセットする、という狙いが「降級」のシステムだったはずです。

 

降級制度の廃止の目的

まず、この降級がなくなったことで、クラスの呼び方が変わりました。

新馬・未勝利 ⇒ 新馬・未勝利(変わらず)
500万下 ⇒ 1勝クラス
1000万下 ⇒ 2勝クラス
1600万下 ⇒ 3勝クラス
オープン ⇒ オープン(変わらず)

〇勝クラスて…。
なんか幼稚園のクラス分けみたいですね;

日本中央競馬会(JRA)的には、降級の制度があると、オープンや3勝クラスの馬の数が減少するため、上級クラスのレースがイマイチ活気づかないというのを危惧していたからだと言います。

たしかに、夏競馬やローカル開催の上級クラスのレースでは、少頭数のレースもわりとあったかと思います。ただねぇ…頭数が増えたからといっても、現クラスで勝ち切れない馬が増えただけでは、実際に勝つ馬が変わるわけじゃありません;

ただ、下級クラスの頭数が減り、上級クラスの頭数が増えれば、そのまま比例して下級クラスのレース数は減り、上級クラスのレース数は増えることになります。

その点で言えば、下級クラスの馬たちにとっては、ライバルが勝ち上がっていくことでより勝ちやすくなるのかもしれません。特に3歳馬にとっては、降級馬との戦いが避けれるようになることでレースに勝つ確率も上がり、3歳としての出世が早まれば上がり馬として秋のG1戦線にも割り込んでいく可能性もありますよね。

 

降級制度の廃止によるデメリット

しかしながら、さっきも言いましたが、現クラスで勝ち切れない馬にとってはただただ地獄が続くことになります。本来であれば、そのクラスで頭打ちになったとしても、降級すれば一つ下のクラスでもう一勝するチャンスがあったはずですが、この「降級」がなくなると、もうあとは引退がただただ迫っていくだけとなります。

JRA的にはそういった競走馬を早くに引退させたいんですかね…。だとしたらJRAは鬼すぎますね…。

競走馬は知っての通り、引退後に種牡馬や繁殖牝馬になれる馬はそう多くはありません。特に種牡馬に関しては、引退する牡馬の内、9割以上の馬が殺処分されてしまいます。

つまり、競走馬は勝つこと、活躍することでしか、自分の命を守っていけないのです。引退後に余生を過ごせないにしても、せめて長く現役を続けることができれば、その分生きていられる時間も長くなるわけで…

「降級の廃止」は、そのチャンスをも奪い取ることだということを、私たちもわかっていないといけないと思います。

 

さいごに

この「降級制度の廃止」は本当に衝撃的でした。

人間のエゴってやばいな、と再認識。

競馬は残酷なスポーツだというのは昔から言われ続けてきたことですが、今回の「降級制度の廃止」でさらにそれに拍車がかかったと思いましたね。

血のスポーツだとか、競馬はロマンだとか、よく言いますが、そんな綺麗ごととは大きくかけ離れたもののような気がしてなりません。

ただ、そんなことを言ってても、予想をして、馬券を買って、ブログを書いて、一喜一憂している私も、結局のところ同じ穴の狢(ムジナ)なんですけどね…