有馬記念(GⅠ)【データ・調教・最終予想・買い目】

この記事は「有馬記念(GⅠ)の予想記事です。

 

有馬記念(GⅠ) コースデータ

中山・芝2500m(内回り)

画像元:http://www.jra.go.jp/

同条件のレース:日経賞

コースの特徴

  • とにかくコースが特殊。直線という直線がなく、高低差もきつい
  • スタートから最初のコーナーまで距離が短く、コーナーを6回まわる小回りのため外枠が圧倒的不利
  • 長丁場であることから距離適性が問われそうだが、コーナーの多さと高低差から道中ペースが比較的落ち着くため、マイラーでも走り切れることもある
  • 馬場が荒れて時計の掛かる馬場になりやすく、パワータイプの血統に注意

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有馬記念(GⅠ)2022 予想

有馬記念(GⅠ)2022 出馬表

有馬記念(GⅠ)2022 過去からの傾向

ペースに注意

有馬記念と言えばペースによってレース色が一変することでも有名。平均ペース、スローペースであれば中距離馬も走れる加速勝負のレースになるが、ハイペースになれば途端にスタミナ勝負のレースとなる。

2019年はスティッフェリオ、クロコスミア、アエロリットがスタート直後なかなかハナを譲らず、またそのすぐ後ろからアルアインもプレッシャーをかけて計4頭が前を行きたがって速い流れが続く中、アエロリットがそこからさらにペースを落とさない単騎逃げを図ったことによって2500m戦とは思えないハイペースに。

そして2021年はパンサラッサとタイトルホルダーの2大逃げ馬がいたことで、パンサラッサがスタートから早いペースでのハナ主張を見せた。しかし本来であれば単騎逃げ確定の展開になった時点で普通はペースを少し緩ませるのだが、そこでペースを落とさないのがパンサラッサ。まだハナ争いをしているかのようなペースをそのまま続け、結果的にハイペースとなった。

これらのハイペースによって、レースは途端にスタミナレースへと変化。加えて2500mという変則的な非根幹距離となれば、体感としておそらく3000mのレースくらいになっていると思われる。となれば2400mのジャパンカップも楽々と制したアーモンドアイですら沈むのも納得。

ここで注意したいのは去年好走した馬が今年も出走しているということ。今年は明らかにハイペースにはならないメンバー構成であり、去年1着のエフフォーリア、2着のディープボンドが同じレースだからと言って今年も好走するというのは結びつけることは断じてできない。

枠順に注意

有馬記念は圧倒的に外枠が不利なレース。スタート直後にコーナーがあり、そのままコーナーを6回迎えるため、外からスタートする馬は逃げて最内に付けない限り内の馬に比べて終始大きな距離ロスをし続けることになる。

そういった背景もあり、過去10年で8枠から馬券に絡んだのは2018年のシュヴァルグランただ一頭のみ。

3歳馬に注意

ほぼ古馬直前であるこの時期であるにも関わらず斤量にアドバンテージがあるのはかなり大きいためか、過去10年で3歳が馬券内に来なかったのは3度のみ。延べ8頭が馬券に絡んでいます。

ただ注意したいのはハイペースであった年を除くと8開催に対し5回5頭と少し数字が落ちるという点。まぁそれでも十分高い数字であることは間違いなく、今年も3頭の3歳馬が出走してくるのでそのうち1頭は馬券に絡んできそうです。

ラストランの馬に注意

有馬記念をラストランとして出走している馬は、好走するパターンが多いです。

1990年 オグリキャップ
2003年 シンボリクリスエス
2006年 ディープインパクト
2013年 オルフェーヴル
2014年 ジェンティルドンナ
2017年 キタサンブラック
2019年 リスグラシュー

特に2013年のオルフェーヴル以降は特にその傾向が強くなっています。

ただ今年の有馬記念では事前引退発表している馬はいません。

有馬記念(GⅠ)2022 血統

血統面で推せる馬
平均ペース・スローペースの場合

ジェラルディーナ ダンチヒ5 x 4
父父:スクリーンヒーロー(父グラスワンダー)
母母父:Bertolini(ダンチヒ系)

ジャスティンパレス
母父:Royal Anthem(ヌレイエフ系)
母父父:Theatrical

ボルドグフーシュ
父父:スクリーンヒーロー(父グラスワンダー)

ハイペースにはならない従来の有馬記念であると、活きてくる血統は、ダンチヒ系・ヌレイエフ系・ノーザンテースト系といった加速力のある血統(亀谷敬正氏も推奨)。

スクリーンヒーローは、父グラスワンダーがロベルトとダンチヒの影響を強く受け継いでおり、さらに母母父がノーザンテーストとあってまさに有馬記念でこそ活きる血統ともいえ、過去にもゴールドアクターが有馬記念で2度好走。

また、ヌレイエフ系のRoyal Anthemの父シアトリカルは昔から有馬記念に強い馬。わたしが競馬にハマるきっかけとなった今でも一番好きな馬・女傑ヒシアマゾンもこのシアトリカルの仔で4歳(今で言う3歳)のときに有馬記念2着になっています。

ハイペースの場合

ボッケリーニ
母父:ダンスインザダーク(Tサンデー系)
母母父:トニービン

アリストテレス
父:エピファネイア(母シーザリオ)
母母父:トニービン

エフフォーリア
父:エピファネイア(母シーザリオ)
母父:ハーツクライ(母父:トニービン)

ハイペースになるととにかくスタミナ寄りの血統が重視されます。スピード力のイメージがあるエフフォーリアも血統面的にはスタミナ血統で、去年のハイペースの有馬記念を勝ったのも納得です。

有馬記念(GⅠ)2022 追い切り

調教面で推せる馬

タイトルホルダー
乗り込み入念で内容も去年の有馬記念とははるかに出来が違う

ボルドグフーシュ
1週前のCW78.2-11.1は文句なしの動き。まさに今が充実期といったところ

外厩情報
外厩していたから必ずしも結果に直結するというわけではないですが、近3年の有馬記念は馬券に絡んだ馬9頭すべてが外厩調整していました。
ノーザンF天栄 2頭
ノーザンFしがらき 6頭
大山ヒルズ 1頭
11/16 ⑫ポタジェ ノーザンFしがらき
11/16 ⑬タイトルホルダー ブルーS
11/22 ⑮ブレークアップ 吉澤S-EAST
11/24 ⑯ディープボンド 大山ヒルズ
11/26 ⑪ラストドラフト 山元トレセン
11/29 ④アリストテレス ノーザンFしがらき
11/30 ⑦エフフォーリア ノーザンF天栄
11/30 ⑩ジャスティンパレス ノーザンFしがらき
12/01 ⑨イクイノックス ノーザンF天栄
12/02 ⑤ジェラルディーナ ノーザンFしがらき
12/06 ②イズジョーノキセキ 宇治田原優駿S
12/09 ⑥ヴェラアズール ノーザンFしがらき
12/13 ③ボルドグフーシュ 山元トレセン

有馬記念(GⅠ)2022 陣営コメント

有馬記念(GⅠ)2022 最終結論

過去傾向・血統・追い切り、これらから今回のティア表は以下

S:タイトルホルダー

A:ジェラルディーナ

B:ジャスティンパレス、イクイノックス

C:ボルドグフーシュ、ヴェラアズール

D:その他

各馬短評

グランプリレースとあって、評価C以上の馬6頭はどの馬も実力確かな好走可能を秘めた馬です。そうなると、どの馬が有馬で強いかという加点ではなく、有馬で不安な減点が重要になってきます。

⑬タイトルホルダー
実力・スタミナともに文句なしで、現状の日本競馬で一番”強い”馬は間違いなくこの馬です。”速い”馬となると別の馬かもしれませんが”強い”というカテゴライズではタイトルホルダー一択と言えます。宝塚記念のあのハイペースでそのままいつもの走りを変えずにゴールしたことでとんでもないレコードを記録したというレースを見れば、非根幹距離でまずこの馬に勝てる馬はいないのではと思います。今回もし負けることがあるとすれば、それはハイペースになったとき。宝塚記念よりも300m長い有馬記念では、このハイペースが原因で去年のように敗れる場合があります。ハイペースになると途端にレース色の変わる有馬記念だけにそこだけが注意かと思います。ただし、3歳の去年より明らかに馬が強くなっていること、そして去年は8枠だったこと、このへんから今回のメンバー構成を考えてもたとえハイペースになっても馬券外になることは今年は考えにくいでしょう。今回唯一のS評価です。
⑤ジェラルディーナ
今年は逃げ馬の数やどうしても前に行きたい馬などを見てもおそらくハイペースにはなりません。そうなれば例年の有馬記念のような加速力に長けた血統の馬が好走するパターンになるというのが今回の見立てです。過去の傾向を見ても加速力のあるノーザンダンサー系が走りやすく、中でもダンチヒ系の馬が穴を多く空けているほどです。ジェラルディーナは母母父系にダンチヒが入ってますのでまさに今回が合う舞台。その上この馬は根幹距離よりも非根幹距離が合う馬です。おそらく天皇賞秋やジャパンカップでは好走は難しいですが、有馬記念だからこその馬といってもいいくらい。2019年や2021年と言ったハイペースになると話は変わってきますが、今年の有馬記念ならおそらく好走濃厚です。唯一不安だったのは枠順でした。距離ロスの多い外枠を引かないことがこの馬にとって最も重要だったわけですが、無事に3枠5番という最高の枠を引き、その不安も解消。そうなればこの馬にとってすべての条件が揃ったことになります。雨予報もなくこの馬の100%の力を出せるとなると、今回はかなり高確率で馬券に絡んでくるのではないかと思います。1着という視点で見るなら、正直タイトルホルダーよりもこの馬かと思います。
⑩ジャスティンパレス
この馬は神戸新聞杯を勝った時点で、菊花賞・有馬記念に大きな印を打とうと個人的に決めていた一頭です。ホープスルSで2着入ったときにすでに質の高さを出していたものの、根幹距離である皐月賞・ダービーでは本来の走りができていませんでした。しかし、神戸新聞杯では圧巻の内容。切れる脚をもっていないながらも、スローペースであの着差の快勝ができるとなると、今年のペースの有馬記念ならかなり期待ができ、過去3歳馬が有馬記念で好走したよくある傾向にかなり近しいと思っています。とくに、過去神戸新聞杯の勝ち馬には、サートゥルナーリアやサトノダイヤモンド・ゴールドシップなど、そのまま3歳の時に迎えた有馬記念で好走している馬も多く、中京2200mになった以降も去年ステラヴェローチェが0.3秒差の4着に入ったことを考えれば、条件が変わった神戸新聞杯であったとて未だその傾向は引き継げているものと思われます。欲を言えば枠順はもう少し内が良かったですが、10番はまぁギリギリ大丈夫といったところで、鞍上強化で今回は勝ち切りもあり得る一頭になる可能性は十分です。
⑨イクイノックス
3歳、55キロ、天皇賞秋を勝った充実期、キレる末脚、このへんをみてもメンバー中一番勢いあるのは間違いなくこの馬でしょう。仮にこれが東京2400mのジャパンカップでパンサラッサのいないこのメンバーなのであればぐりぐりの◎だったと思います。しかし、本来S級評価になるはずのこの馬がB級評価にとどまったのは、やはり中山というコースと2500mという距離が問題です。中山コースでは皐月賞で2着となっていることから一見問題ないように見えますが、あのレースの最終直線を思い出してみてください。直線に入ってジオグリフと並走する形になって先頭に立ったのち、一度ジオグリフを離します。しかし直後足色が鈍ってジオグリフに差されると、その前にかわしていたダノンベルーガとアスクビクターモアに再度詰め寄られています。2000mの皐月賞であれなのですから、さらに500mも距離が伸びた有馬記念ではどういうことになるか。ルメール騎手は今回、コーナー前の早い段階から前との差を詰めてくることが想定されます(そのソース)。直線の長い天皇賞秋でギリギリかわせたことが脳裏に焼き付いている今のルメール騎手にとって、直線が短く急坂のある中山ではいくらルメール騎手と言えども焦りや恐怖心はあり、かなり速めから先団に詰め寄るかと思います。しかし相手も皐月賞よりはるかに強くなってますし、直線に入った時点で突き抜けるだけのスタミナは残っているのか?ここがかなり心配な点です。キタサンブラック産駒ということを考えても2500mという距離が長いわけではなく、スタミナを削られる中山の2500mだと懸念点がかなり大きいということです。3歳春というまだ若い時期から半年が経過してるので馬も成長してますし、そこまでを加味して今回はB級評価、ということろに落ち着きます。
③ボルドグフーシュ
福永祐一騎手が有馬記念ラストランとあって別の意味で注目を集めてしまっている一頭ではありますが、それは一切関係なく、今回メンバーで血統面・調教面の両面で推せるのは唯一この馬1頭のみです。つまり、適性や状態的にボーダーラインを超えていて枠順も良いとなればあとは実力的にこれるかどうかだけになります。3歳馬の有馬記念での実力のボーダーラインとしては、重賞を勝っているかどうかが目途。しかしボルドグフーシュはここまで菊花賞含む重賞を3戦していますが、すべて馬券に絡んではいるものの勝利は無し。また、過去にGⅡ2勝・菊花賞1着だったキタサンブラックや、去年GⅡ1勝・皐月賞2着・菊花賞1着だったタイトルホルダーなどが有馬記念で4人気だったことを考えると、現時点でのボルドグフーシュの人気は少々過剰人気なのも否めません。競馬では過剰人気ほど危ないものはないので、懸念材料があるとすればそこ。血統・調教・枠と好条件がそろっているだけに本当なら大きな印を打ちたいところではありますが、懸念点を足すと今回はC評価まで。
⑥ヴェラアズール
前走ジャパンカップでも迷いなしの本命を打ったほどこの馬の能力は疑う余地のないものです。ただし、それが活きるのはやはり東京コースや2400mといった根幹距離での話。今年の年明けにはまだダートを走っていて、芝に転向してから無類の強さを見せ始めていますが、4月に走った今回の有馬記念と同条件のサンシャインSでの内容が問題です。言ってもまだ8か月前の話。現在すでに5歳なのであの時点ですでに今の実力を持ち合わせていたと思われますが、あのメンバー構成で3着で終わったというのがどうにもこうにも腑に落ちません。2着はブレークアップ、勝ったパラダイスリーフはその次の目黒記念でボッケリーニに負けているとなると、中山2500mという条件では、今回メンバーのブレークアップやボッケリーニと同じくらいの位置づけにするのが自然です。ただし、血統的には、クロノジェネシスと同じ母父がクロフネ、父エイシンフラッシュも有馬記念2着の実績は持ち合わせており、適性のある血統であることには違いないです。今回枠にも恵まれ、もし2009年のエアシェイディのようなレース運びができるようならワンチャン3着まではあると見てC評価まで。

隊列

まずはタイトルホルダー。13番枠とはいえ、ここは危なげなくすんなり短期先頭に立ちます。

そしてそのあと数頭が続き、次に続くのが⑩ジャスティンパレス。本当なら神戸新聞杯の時のようにすんなり4~5番手あたりを位置したいところではありますが、10番から押していく形で6~7番手を外目に走る格好になるかと思います。

次はイクイノックスです。ルメール騎手はおそらく2018年のレイデオロの時と同じような位置づけでレース運びをすると思われます。最後の直線ですんなり前に出たいという思いがあるため、スタートはある程度前に出すも、そのまま内に包まれない位置をキープして手綱を抑えて、終始8~9番手くらいの位置で外を回る映像が浮かびます。

そして前走エリザベス女王杯からの再度のコンビとなるCデムーロ騎手はそのすぐ右後ろのくらいの位置を取ると予想。というのも、前走は18番枠だったこともあり、惰性であの位置でしたが、STからの動きを見ていると本当ならもう少し中に入ってレースをしたそうな印象を受けました。今回は3枠5番。調整するのは縦の位置だけでおそらく無理なく前走本当は位置したかったポジショニングを取ると思われます。

そして今回3枠6番と縁起のいい枠を引いた⑥ヴェラアズールですが、絶好枠を最大限に活かすことなく持ったまま進ませて12番手あたりを位置するのが関の山です。というのも、府中と違いどれだけ消耗するかわからない中山2500mで、最後の直線でこの馬の最大の魅力である末脚を全く使えなかったら意味がない、そう踏むと思いますので、内でロスなく進み、最後は外を回して末脚勝負、というのが頭の中で描くシナリオでしょう。

そして最後に一頭、位置が唯一読めないのが③ボルドグフーシュ。福永騎手としては、好スタートさえ切れれば、本当は少しでも前目に位置したいと思っているでしょう。しかし、今回も出遅れるのであれば、⑥ヴェラアズールと並走、またはヴェラアズールをマークする形で外目に付ける、という位置取りになると思います。逆に好スタートがきれれば、先行集団のうしろの5番手あたりを位置してもおかしくないです。

というわけで、ST直後の位置取りは以下

そして、第4コーナーを回った時点での各馬の位置は以下

この段階から、逃げる⑬タイトルホルダーに対して、③ヴォルドグフーシュ、⑤ジェラルディーナ、⑩ジャスティンパレスの余力は十分、⑨イクイノックス、⑥ヴェラアズールはスタミナ次第、という感じでゴール前を迎えると予想します。

最終着順予想

1着 ⑬タイトルホルダー

2着 ⑤ジェラルディーナ

3着 ⑩ジャスティンパレス、⑨イクイノックス、⑥ヴェラアズール、③ボルドグフーシュ(③好ST時)

馬券買い目

馬券形式 買い目 自信度
3連複 ⑬-⑤⑨⑩-⑤⑨⑩ ★★★★★
⑬-⑤⑨⑩-⑥ ★★★
⑬-⑤⑨-③ ★★
⑬-⑩⑥-③
3連単 ⑬-⑤⑨⑩-⑤⑨⑩ ★★★
⑨-⑬-⑤ ★★
⑨-⑬-③⑥⑩
理想投資額:1万円前後

有馬記念(GⅠ)2022 結果・回顧

この回顧はあくまでも各馬の次走の予想や、来年の同レースを予想の際に役立てるためにおこなう回顧です☝

2022年の有馬記念は、「強さ」よりも「加速力」「中山適性」の2条件が重要であったことが非常によくわかる結果だったと思います。

予想結果としては、今回取り上げた6頭のから馬券内の3頭が出ましたので予想の方向性としては大きく間違っていませんが、今回は軸馬を完全に誤ったので馬券としては惨敗です。

馬券内に入らなかった残りの3頭は明らかに取り捨てできたことが今では判明していますので、早速回顧していきます。

1着 ⑨イクイノックス
能力の非凡さから今回のような突き抜けは十分あったわけで今回ももちろん最終結論に残していましたが、今回の予想の敗因としては「中山適性」を見誤ったことです。中山適性の判断材料にしたのが皐月賞。末脚に絶対の自信があるイクイノックスにとって、皐月賞の直線はあまりにも頼りない内容で、ここからさらに距離が500m伸びれば対応しきれずB評価までにとどまったわけですが、一番成長力のある3歳の春のレースのみを判断材料にしたのはいささか失敗でした。これを来年以降に役立てるとするなら、過去歴から皐月賞と有馬記念との因果比較をしておく必要があるかと思います。また、キタサンブラック自体が有馬記念を制しているという点からも、このあとジェラルディーナでも触れますが、父馬や母馬が有馬記念勝利していれば仔も有馬記念適性あり、というのは素直に判断して良さそうです。
2着 ③ボルドグフーシュ
今回は最終的にC評価ではありましたが、C評価は2着まではあるという判定ですので判定的にはまずまず。重賞勝利がないという点だけがかなり不安材料ではあったものの、調教が抜群、枠は完璧、血統的にも適性は保証、菊花賞ですでにGⅠ級の力は実証済み、という重賞勝ちがないというデータを覆い隠すことのできる加点材料があったのはやはり大きかったと思います。また、末脚が確かな馬は有馬記念での判断が比較的難しいですが、コーナーでも加速できる馬とそうでない馬(参考動画)というのがまず大きな判断基準になることは間違いないです。今回で言えば、最終結論で残した6頭の内、4頭が末脚自慢の馬だったわけですが、イクイノックス・ボルドグフーシュ・ジェラルディーナはコーナーでも加速できる馬で、ヴェラアズールはコーナーで加速しにくい馬です。有馬記念はコーナーが6回あるので、このあたりは来年以降も参考になる材料でしょう。
3着 ⑤ジェラルディーナ
今回一番悔やまれるのはこの馬でしょうか。できれば道中は好位を位置し、直線で抜け出す、というのが理想であったわけで、いわば今回のイクイノックスのような立ち回りをしたかったわけですが、痛恨のST出遅れ。鳴尾記念以降出遅れもなく、その結果成績も安定していただけに、この馬の出遅れは完全に想定外でした。しかし、それでも3着まで上がってくるあたりは、やはりグラスワンダーやジェンティルドンナの血を受け継いでいるといった感じで、中山適性、強いては有馬記念適性の高い馬だったと言えます。今回この馬をA評価にしていたのはまさしくその適性がすべてだったので、出遅れていなければイクイノックスにどこまで詰め寄れていたのだろうと思うところはあります。
7着 ⑩ジャスティンパレス
先行したいのはわかっていたので枠的に6番手くらいを想定していましたが、かなり押し出していって想像以上に前に付けた感じでした。ペースもゆったりだったのでポジション的には完璧だったと思いますし、道中をみてこれはワンチャンあるか?とも思いましたが、直線入ってインを突いて伸びてはいるものの、あれだけ差しの競馬になってしまってはこの馬の持ち味はいきません。しかしこれには大きな敗因が2つ。まずスタートがあまり良くなかったこと。自分より内の馬が少し前に出ていたのと、外からタイトルホルダーが被さってきたことで前に行くのが遅れ、結果的にかなり押し出して3番手につけることになったことです。あそこで少しスタミナロスしましたね。あとは、最後インを突いてしまったこと。マーカンド騎手は実力があるのは周知の事実ですが、中山の経験値が圧倒的に少ないです。有馬記念は、直線向いてから差す競馬をする際、内から差してきて馬券になった馬はいません。これも動画(参考動画)で福永騎手が言っています。つまり、とったポジションは良かったですが、そのあとの進路選びがまずかったと思います。しかしながら、STすんなり出て、進路取りが上手くいっても、今日のレースであれば、良くてジェンティルドンナと同時くらいだったと思います。連対まではさすがに厳しかったと思われますし、この馬は今後天皇賞春などの長距離路線で期待するのが良いと思います。
9着 ⑬タイトルホルダー
今回、馬券内を信じて疑わなかったのがこのタイトルホルダーですが、やはり切れる脚がない以上、こういった差し競馬になると太刀打ちできません。この馬の強みは、スタミナとタフさ。天皇賞春は当然距離が3200mもあるのでこの馬にはうってつけですし、今年の宝塚記念もあのハイペースで阪神の馬場という組み合わせで完全なタフレースが仕上がっていたため、この馬に向いたレースになりましたが、今回はスローな上に後続もスタミナを持て余していた状況。あれでは勝ち目はありません。枠が外すぎたという人もいますが、まず今回たとえ内枠だったとしても結果は同じだったと思いますし、枠は一切関係ありません。今後タイトルホルダーを狙う際は、そのレースがタフなレースかどうかを読みきらないといけないと思います。今年の有馬記念はハイペースにはならないとわかっており、その上でこの馬を狙っていたわけですが、もしかすると去年のようにハイペースの方がこの馬には合っていたかもしれません。去年はまだ3歳で成長過程の時期だったために5着だっただけで、今のタイトルホルダーならあの展開でも先頭で残れる気がします。今後は3000m以上のレースか、スタミナを要するレース、この2パターンの時しか狙えないでしょう。中山適性がないわけではないですが、今年の日経賞の内容を振り返っても、中山2500はハイペースでなければタイトルホルダーには少々難しいと思います。
10着 ⑥ヴェラアズール
この馬に関しては想定通りだった、という感じで特に驚きはありません。最終結論の6頭に残しはしましたが、各馬短評にも書いたようにこの馬は一番低い評価で、百にひとつ、2009年のエアシェイディのような立ち回りができれば3着があるかもしれない、という意味合いで残しただけですので、結果としてはやはり、という感じでした。鞍上が松山騎手になった時点で、枠がどこでもああいった騎乗になることはわかっていたので、その時点で切ってしまった方がよかったですね。それにしても、この馬は中山適性がやはりありません。イクイノックスと違って古馬なので、半年前の春の中山でのサンシャインステークスの内容はそのまま反映できるものでした。というのも、先ほどボルドグフーシュの回顧でも書いたように、ヴェラアズールはコーナーで加速しにくい典型的なパターンの馬です。今後も中山では苦戦を強いられると思います。
2022年有馬記念 総括
今年はスタミナの一切いらない、溜めの利く完全な差し競馬の有馬記念となりました。こうなると、末脚に自信があって、中山適性がある、なおかつコーナーでも加速できる馬「イクイノックス」「ボルドグフーシュ」「ジェラルディーナ」が好走するのも納得の結果です。また、このスタミナのいらない有馬記念では、過去にもダイワメジャーやエアシェイディといった中山適性さえあれば中距離馬でも馬券内に食い込んでくるという事例があります。そういう意味では②イズジョーノキセキが4着に食い込んだのもまさしくスタミナいらずの展開だったため。まさにこのパターンだったと言えます。今後も有馬記念は、ペースを主軸に予想を立てていくのがベストでしょう。